Interview
月の2日を社員の研修にあてる福祉用具の会社が、介護の現場を楽にする企画を待っています
株式会社あかね福祉
介護の現場が、楽になるために。
郡山市安積町荒井にある株式会社あかね福祉は、2000年にできた福祉用具の会社で、東北に拠点を持っています。主な取引先は特別養護老人ホームです。
代表取締役社長の水橋洋平さんは、6年前に郡山へ呼ばれて社長になりました。
会社には研修センターがあります。介護の現場で働く人が来て、福祉用具の使い方と、新しい介助の方法を学ぶ場所です。用具をうまく使えば現場の負担は確実に減る、というのが水橋さんの見立てです。
もう一つ、「介護の魅力発信」としてnoteを1年ほど前から続けています。書いているのは、自社の商品よりも、取引先の施設の日々です。夏祭り、誕生日の外出、施設の中の小さな楽しみ。そして、福祉用具がその暮らしをどう支えているのか。現場での活用の様子も伝えています。
ー若い人には、どんなことを手伝ってほしいですか。
水橋「福祉分野には、若者の目で見てほしいことがたくさんあるんですよ。働きやすく、生きやすくするために、イノベーションを起こせるような企画は期待したいですよね」
福祉用具に関係していなくてもかまわない、といいます。福祉用具の普及そのものが業界を良くする、という考えは持ったうえでの話です。ただし、条件が一つだけあります。
水橋「ビジネスでお金を生むということは、そこに求める人がいて、お金を払うわけですから。好循環がそこから生まれてるわけですよね」
お金を払ってもらえる形まで考えること。それが、水橋さんの置く条件です。
月の2日をあてる、社員の研修

水橋さんは、月のうち2日を社員の研修にあてています。
そのうち毎月第一土曜は会社全体の勉強会で、通常の出勤日とは別に、勉強会のためだけに全員が集まります。その資料を、水橋さんが毎月作り続けています。
海外にも送ります。行き先はスウェーデンやドイツの介護施設で、毎年社員を送り出しています。しかも、同じ人を2回行かせます。

水橋「1回だけだと、なんかよく分からないで帰ってくるんですけど。2回行くと、ああなるほどこういうことか、って実感が入ってくるんですね」
ーなぜ、そこまでして行かせるんですか。
水橋「行ってみて分かることがあるんですよ。自分の目で自分で感じて、現地の人と会話をして。だから、そういうことなんだなって実感できるんだと」
研修のほかに、社員との向き合い方も決めていて、年に2回、面談をします。出てきた要望は、ほぼ叶えます。
出てくるのは、新しい掃除機やパソコンが欲しい、といった身近なものが多いそうです。
ここで何かを教わるなら、その相手は、毎月の勉強会の資料を自分で作っている社長です。
とんかつ屋のオープン店長から始まった仕事
水橋さんは郡山で生まれ育ち、山形の東北芸術工科大学でグラフィックデザインを専攻しました。理由は、絵を描くのが好きだったからです。
新卒で入ったのは、東京の小さな会社でした。飲食店舗の運営ノウハウを得るために、複数の大手フランチャイズ本部(フランチャイザー)と契約し、複数のフランチャイジーとして成長し始めたところの会社です。小さい会社で重要なポストを任されたほうが勉強になると考えたといいます。
最初に任されたのは、大手フランチャイズのとんかつ店の店長でした。蒲田に新しく開く店で、大学を出たばかりのオープン店長です。
ー新卒で、いきなり店長ですか。
まさか自分がやるとは、思っていなかったそうです。その会社で3つの業態を任されるところまでいき、結婚を機に働き方を見直しました。
先輩の一言で引き受けた、社長の仕事

6年前、世代交代をするということで郡山に呼ばれます。会社を興したのは水橋さんの父で、継げという直接の指示はなかったものの、継ぐんだろうな、という空気はずっとあったといいます。
社長は、社員とその家族の暮らしを預かる仕事です。水橋さんはその責任の重さを考え、すぐには引き受けませんでした。背中を押したのは、当時CEOの肩書きだった先輩で、営業畑で長くやってきた人です。
水橋「人生一度しかないでしょう。その中で、自分がそのポジションに行かないとできないことがあって、それをやらせてもらえる機会だと俺は思っていた。だから、やるだけやってみたら、と」
社長になった水橋さんが時間をかけたのは、そこで働く人を知ることでした。家族構成、いまどういう状況にあるか、どういう思いで仕事をしているか。
水橋「人は気持ちで動くじゃないですか」
介護の現場を楽にする、福祉用具の力

水橋さんは、介護の業界を人口構造から見ています。お年寄りが多ければ多いなりの事業モデルがあり、減れば減ったなりのモデルを考えなくてはいけない。そのなかで目指しているのは、現場から介護の質を上げていく仕組みです。
水橋「本来はケアプランを現場が運用して、サービスの質を上げて、要介護度を下げていくという仕組みが一番理想なんです」
その仕組みに近づくために水橋さんが力を入れているのが、福祉用具です。道具をうまく使えば、介助する人の身を守り、サービスの質も上がります。

水橋「介護する人がしっかり道具を選定をして、うまく使ってもらう。そうするとこの業界は良くなる。で、そのモデルが実はちゃんとあるんですよ、海外に」
介護先進国で成り立っているその仕組みを学ぶために、社員を2回送ります。
現場から届く、楽になったという声

やりがいを聞くと、水橋さんの答えは現場の話でした。
水橋「福祉用具って、痛みを取ってあげる効果もあるんですけど。楽になったよ、って言ってもらえたりとか。シンプルに嬉しいですよね」
現場を回っていたころには、施設の職員から「あの方が呼んでいるから来てほしい」と連絡をもらうことがありました。訪ねると、水橋さんの手を握って話を聞いてほしがるおばあさんが何人もいたそうです。
水橋さんがいま考えているのは、自分たちが抱えられるお客さんと、そこで働く社員をどう満足させるか、ということです。
転勤をさせないのも、先代から受け継いだ考え方です。
水橋「社員とその家族の暮らしを大事にしたいんです。だから各地の拠点では、現地で採用しています」

ー応募してくる若い人に、一言お願いします。
水橋さんは、まず勉強会の話から答えました。
水橋「月に2日を社員の研修に使っているのは、そうすることで、お年寄りの方が喜んでくれるとか、そこで働く職員さんが楽になるからなんですよ。勉強会は、そのためのバックヤードなんです」
そういう環境を用意している、と胸を張る言い方はしませんでした。
水橋「まだまだ、私自身が勉強不足なので、社員のために用意してあげているというより、一緒に学ばせてもらっている感覚です。ただ、お年寄りにも現場の職員さんにも楽になってほしい、という思いだけは、ずっと変わらず持っています」
介護の現場が、楽になるために、あなたの企画を。
会社概要
会社名
株式会社あかね福祉
所在地
福島県郡山市安積町荒井
事業内容
福祉用具の開発と、施設・在宅の介護支援
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